YIP YOPS

 ‘EYES’

♪PROFILE♪

Ison – songwriter and lead vocalist
Ross – drums
Jacob – bass
Mari – keybord

Palm Desert, CA USA
http://www.yipyops.com/
https://www.instagram.com/yip_yops/

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(C)Scott Freeman

https://www.instagram.com/ogscottfree/

♪MUSIC♪

YIP YOPS – ‘EYES’ (EP)

FEBRUARY 2018

♪REVIEW♪

無数に並ぶ眼球の群れ(EPのカバー)、イエローやパープルといった蛍光色(シングルのカバー)、ホワイトストライプスを想起させる白と赤のキャンディ(ライブの案内)、極彩色の多用(PV)。正直言って、彼らのアートワークは不快感すれすれだ。うっとうしくて、目を背けたくなる人もいるだろう。しかしながら、インスタグラムの写真の配置を見てわかるように、そのどぎつい主張は偶然ではなく、どこまでも意図的になされていることがわかる。音楽面でも奇抜さが際立ち、カリフォルニアの数多あるギターロックではなく、一聴、D.Aワラック的な80sのポップの皮をかぶりながら、その実あまりキャッチーでもないという、やっかいな代物である。それもまたバンドの首謀者Isonの意図を反映している。彼の狙いは、我々の考え方の前提に揺さぶりをかけることだ。そのために、視覚的に聴覚的に我々の既成概念に疑問を投げかける。だからこそ、我々はまるで異物を飲み込んだような違和感を覚えるのだ。

今や、電車の中で周りを見渡せば、誰もがスマホのブルーライトに顔を照らされ、電車の外の空間にいる人々と連絡をとったり、ウェブ上でメディアを閲覧したり、情報を発信している。つまり、電車の中にいなかがら、世界中どこにでもいけるのだ。それは一見素晴らしいことのように見えるが、落とし穴があって、ここにいながらどこにでもいるという状態は、実際にはどこにも存在していないのと一緒。Isonはそうしたテクノロジーの発展の副作用による、個人の存在価値の希薄化に警鐘を鳴らしている。(ちなみに、自分自身の存在価値を創出するには、自分の意識を1点に集中させることが必要だ。しかも基本的には、身体と意識ともに揃ってる状態で、一つのことに取り組むのが望ましい。これらの実践から得られるのは充実した時間である。)

ただしそれを、アコギでアンプラグドでネイチャーを表現したらわかりやすいのだが、あえていかにもデジタルの側面を強調して(実際にはキーボードだけがその役を担ってるわけで、そんなにデジタルでもないのに)、つまりテクノロジーを象徴的に使うことで、周囲のテクノロジーに自覚を促すのがYIP YOPSなのである。ふざけたバンド名に見えて、チャラチャラしたサウンドに聴こえて、どこまでも自らのなすべきことに確信的なのが、Isonのインタビューからわかるはずだ。

♪INTERVIEW WITH ISON♪

Q
この作品で一番伝えたいことはどんなことですか?
A
僕は音楽が、コミュニケーションにおける最も強力な伝達手段のひとつだと信じている。そして僕らが手にしているもので、最も世界共通語に近いものだとも思う。だけど、音楽が考え方を人々に伝えるために使われるべきだとは信じてはいない。音楽は疑問を提起するための手段として使われるべきで、新しい方法で物事を考えたり、見たりするためのきっかけとして人を刺激するものだと思う。

Q
どんなところにこだわって作りましたか?
A
どの曲も僕の経験が元になって語りかけるストーリーにしようと思っていたんだ。でも、異なるレンズから物語を見ているようにも思えて。あるいは言うならば“different eyes(異なる目)”だね。これらの物語に、異なる背景を持つたくさんの異なる人々がいるプラットホームを与えることで、共感できるようにしているんだ。

Q
音楽を通して探求していることは何ですか?
A
“perspective(物の見方)”というコンセプトが、今作のリリースのクリエイションを通じてテーマを押し進めていた。僕らは世界をレンズを通して見ている、そして誰も同じ物の見方ができる人はいないというアイディアに僕は取り憑かれていた/いる。
そしてまた、人類のヒエラルキー(階層)の頂点に鎮座する“all seeing eye(プロビデンスの目/神の全能の目)”の実現にも興味を惹かれた。神であれ、政府であれ、あなたの教師や両親や何であれ、異なる物の見方は君を助けることや案内することができる可能性がある。でも、それと同時に君自身を吸収し、利益のために君を売り払ってしまう可能性だってある。それこそが(EPの最後の曲)“WYIM” がやってきたところなんだ。

Q
最近、誰にインスパイアされますか?
A
アーティストとして、インスピレーションをが湧き上がる場所に、限界をもうけたりはしない。好きな映画のひとつのキャラクターや信じている哲学、愛する音楽など(幅広く)影響を受けている。最もインスパイアされる事象に気づく方法とは、できる限り自分自身のまわりに起こる何もかもに注意を払うこと。自己認識におけるテクノロジーの発展と乱用が、我々がまわりの世界から学ぶための機会を奪い去っていることを危惧しているよ。けれども、僕はテクノロジーが影響を与える独特な方法を見つけた。周囲の状況への疑問という知覚による(脳内の)火花がイノベーションだと信じている。

ENGLISH VERSON

Q
What is the most important thing that you want to communicate to listeners through this?
A
I believe music is one of the most powerful forms of communication. And it’s one of the closest things we have to a universal language. However, I don’t believe that music should ever be used to tell people what to think. It should be used as a way to pose questions, and provoke people to think about and see things in a new way.
Q
For that , how did you try to make these songs?
A
I wanted the stories that I tell in each song to come from my experiences, but looking at them from different lenses. Or “different eyes”, if you will. Giving those stories a platform

in which I believe a lot of different people with different backgrounds can relate.

Q
What is the theme you are looking for through making music?
A
The concept of “perspective” was a driving theme through the creation of this release. I was/am obsessed with the idea of the lenses in which we see the world, and how nobody can ever be identical.
I was also intrigued by the realization of the “all seeing eye”, sitting at the top of humanity’s hierarchy. Whether, to you, that’s God, the government, your teachers, your parents, etc. It can help you and guide you, but could also absorb you and sell you for profit. That’s where a song like “WYIM” comes from.

Q
Who inspire you?
A
As an artist, I have no limitations about where I can pull inspiration from. Whether it’s from a character in one of my favorite movies, philosophy that I believe in, or music that I love. I find it best to be aware, as much as possible, and give attention to everything around me. I fear that with the rise and abuse of technology; that we find ourselves in, we are stripping ourselves from opportunities to learn from the world around us. Although I do find technology to be inspiring in its own way, I believe that innovation is sparked by awareness to the questions of your environment.