PAPOOZ

‘NIGHT SKETCHES’

♪PROFILE♪

フランスのパリ出身、Ulysse(ユリス)、Armand(アルマン)からなる2人組。2015年にセルフタイトルのEPでデビュー。同年日本にて、エルメスのアフターパーティにおけるパフォーマンスを行い注目を集める。2019年1月に’Night Sketches’をリリースしたばかり。
https://www.instagram.com/papoozband/

PHOTO BY HEDI SLIMANE

♪MUSIC♪

PAPOOZ – ‘NIGHT SKETCHESLP
18 JANUARY 2019

♪REVIEW♪

ご無沙汰しております。みなさんお元気ですか? 東京では先週、桜の花は雨に流され、寒い日が続きました。週末また暖かくなってきましたね。そして今は低気圧の影響で、私は頭痛がひどいです、、、。

さて今回は、2018年に催されたHedi Slimaneのバースデーパーティに参加し、トラッドなスーツを着崩した着こなしでも注目を集めたパリ出身の男性二人組Papoozをご紹介します。

このブログにまで手を伸ばすほどのインディロックファンのあなたなら、La FemmeやPapoozといった中堅どころから、Oracle SistersやMarble Arch、Territoryなどなど、現在フランス(特にパリ)の音楽シーンが、15年前のロンドン、5年前のカリフォルニアのように活気づいていることにすでにお気づきかもしれません。
Hediも昨年、LAの豪邸を売りにだし、パリへと戻り彼らを追っかけ、先ほどのパーティやCelineのショーに招いているようですので、パリ界隈のムーブメントはここ数年継続、さらに加熱していくのではないかと容易に推測されます。

ただ今回ご紹介するPapoozは、新しいというよりは少し前のトレンドのサウンド、すなわちドリームポップをベースとしています。より若い世代、Marble ArchやTerritoryになるとDiivからの影響が大きく見てとれますが、Papoozにはまだ及んでいません。ドリームポップ自体は本国アメリカでは勢いがかなり下火となっていますが、彼らの場合はノスタルジックな70年代のサウンドを組み合わせつつ、そこにパリ特有の都会/夜の洒脱で洗練された雰囲気が加わることで、時代錯誤にならず、むしろ今の音として鳴らすことに大成功。明るくてポップでありながらも、どこか影や寂しさを含んだムードはパリならではの’粋’を感じさせます。

さて今回は余談でパリの夜の思い出を。
もう10年前ですね。2009年1月にパリへと20代中盤に一人旅に行きまして。ちょうどそのタイミングでThe HorrorsのボーカルのFarisがクラブでDJとして参加するということで、これはもう行くしかないなと。The Horrorsが名作’Primary Colours’をリリースしたのはその年の5月だったので、パリを観光している間は1stの’Strange House’、それから当時ハマっていたLadyhawkeの’Paris Is Burning’やFriendly Fireの’Paris’を今はなきiPod(!)で爆音で聴いて一人でノリノリでしたね。
イベントの当日、会場に向かおうと思ったのですが有名どころでもなかったため、場所がよくわからず。しかも現地で携帯が使えなかったため、(たぶん’地球の歩き方’の)地図とにらめっこしながら、パリの夜道をぐるぐる歩いていました。さすがにもう分からないから、すれ違った同世代の男女のグループに尋ねたところ、”僕らもこれから行くから一緒に行こうぜ”って誘ってくれて。その前に仲間と落ち合うってことでカフェに寄ったんです。
クラブに到着すると、現地のお客さんが列をなして並んでいて、チケット買うのも一苦労のようで。”これはとても日本人がいきなりきてポッと入れる感じじゃねぇ”なと。ただ誘ってくれた人達は顔パスなのか、並ばずにさらっと中に入れたので、これはありがたかったのですね。それと会場の外で印象的だったことは、1月のすごく寒いなかパリジャン/パリジェンヌがクラブの外に群れをなして、すごく寒そうながらも肩身を寄せ合って煙草を吸ってたのが印象的でしたね。当時の日本は今ほど喫煙が厳しくなかったので、’あ〜そっかパリでは、屋内で吸っちゃダメなのねぇ。こんな寒い中よくわざわざ外出て吸うわな、でもなんかカッコいいなぁ’と感心した記憶があります。
会場の中は外の列とは対照的に、広くはないが人は多すぎず、その分、日本人はいないので相当に浮いてたと思います。しかも私はお酒を一切飲まないから素面なので、’場違い感すげぇなぁ’と冷静に、ヒシヒシと肌に感じていました。ただたまたま、NUMBER (N)INEのショーにも出演していたモデルのカミーユが、青いライトに照らされたフロアでベロベロ状態でいるのを発見し、ファンであることを申し出ると、熱く抱きしめてくれました(同じくNineのモデル、アポロには当時April77で働いていたのでそちらで会えました)。で、肝心のFarisが登場すると、観客は彼のところに集まるわけでもなく、ポツンと淡々とDJをこなしていました。世界的な評価を勝ち得た’Primarl Colours’のリリース前とはいえ、デビュー時からNMEでも大きく取り上げられていたことを考えると、不思議な感じもしました。それこそHediも既に撮影してましたからね。でも私としてはラッキーだなと思い、ポラロイドカメラ(当時あったHUgEというカルチャー誌で特集していた映画監督のGus Van Santの影響でハマっていた)で、撮影させてもらい、サインもいただくことができました。私服もシンプルだったし化粧もほぼなく、終始クールで、いつものステージの姿とは違う、音楽オタクの美形お兄さんって感じでしたね。深夜にはThe KillsのAlisonもDJをやる予定だったと思いますが、”さすがに素面だしそんなに遅くまではとても耐えられねぇ”とタクシーを捕まえてホテルへ帰宅しました。その時の料金が異様に高く、ぼったくられたのか、深夜料金だったのか、未だによくわかりません。それで熱が出て日本から持ってきたパブロンを飲んで寝ました。
誘ってくれた方々は後日、自宅にも招いてくれて、今なおSNSでつながってるのでありがたいなと。信じられない話ですが当時、Facebookは日本では全然認知されてなくみんなmixiやってました。若い人は知らないだろうし、Facebookもやってないだろうな。その内の一人の男の子について’汚れてるけどすげぇカッコいいハイカットスニーカーはいてるな’って思って、よく見ると’えっ、これLanvinじゃね’と思い褒めても、ブランドの名も出さず、’すごくさりげないな。これがパリの着こなしか!’ と痺れましたね。当時はHediがDior Homme を去った後で、彼の元で働いていたLucaが手掛けるLanvinが注目を集めていたのです。

閑話休題。そんなこんなで今のパリのシーンの盛り上がりを非常に嬉しく思います。今回はそんなパリ出身、PapoozのArmand(アルマン/ブロンドヘアの方)インタビューに快く応じてくれました。Hediについてもチラっと聞けました。どうぞ〜。

それから彼らによる、小沢健二のラブリーのカバーもいいですよ。こちらもぜひぜひ。

♪INTERVIEW WITH ARMAND♪

About ‘Night Sketches’
Q
この作品を通じてリスナーに伝えたいことは何ですか?
A
このアルバムを聴いて感動してもらいたいんだ! 音楽は感情が大切なのさ。僕らの音楽を聴いたなら、君はとたんに踊って、笑って、泣きたくなってしまうだろうし、たとえ君が何かを考えることになったとしても、僕らはよくやったと思うよ。
Q
そのために、曲をどのように作りましたか?
A
おそらく、夜と街に対峙する人のストーリーを語ろうと思ったんだよ。リアルなコンセプトアルバムではないんだ。だけど、すべての曲のデモ作りを終えた後、曲がすべてある種の’雰囲気’に関係していると、夜の生活についての歌詞も時々あったりしてね、そんな風に感じたんだ。ナイトライフが持つ喜びや悲しみ、それから僕らが生かされる基本的なことについて描いたアルバムなんだ。

About Papooz
Q
音楽を通して探求していることは何でしょうか?
A
僕らはたんに音楽を作ることが楽しみ! それこそがミュージシャンであることのもっとも大きな理由だね。友達と一緒に音楽を演奏するっていうシンプルな喜びさ。
Q
Papoozをバンド名にした理由は何でしょうか?
A
英語の’Papoose’っていうのはベビーカーもしくはネイティブアメリカンの子供や赤ん坊という意味なんだ。その言葉は、僕らがモロッコの砂漠で喫煙していたときに発見したんだけど、発音が気に入ってさ、実際の意味ではなくって。その単語は僕らを笑わせてくれたんだ。
Q
何に影響を受けていますか?
A
音楽面では、たくさんの70年代後半のソウルとソフトロックの演奏だね。例えば、Steely Dan、 Michael Franks、The Sparks、 Supertramp、 Fleetwood Mac Shuggie Otis… それから素晴らしいグルーヴがあるものならなんでも。あとアルバム制作当時、僕はCharles BukowskiやJohn Fante(ともにアメリカの小説家)の作品なんかもたくさん読んだよ. ‘Pacific Telephone’と’Night Sketches’という曲は彼らの執筆に影響を受けているんだ。
Q
同世代でおすすめのフランスのバンドを挙げてもらえますか?
A
こちらのバンドをチェックしてみて!
La Femme
Oracle Sisters
Feu! Chatterton
Moodoid
Polo & Pan

About Hedi Slimane
Q
Hediにはどのようにして出会いましたか?
A
彼が主催したパリのバースデーパーティで会ったんだ。彼は何組かのローカルロックバンドを招待してくれて、僕らはケーキを食べて、写真を撮ってもらったのさ。
Q
何について彼と話しましたか?
A
どこに住んでいるとか、何が好きとか、どんなスーツを着ているとかそんなようことだね。彼は本当に素晴らしい人だよ。

ENGLISH VERSION

About Night Sketches
Q
What is the most important thing that you want to communicate to listeners through this?
A
We want our listeners to be moved by it. Music is all about feelings. If you listen to our music and you suddenly feel like dancing, laughing, crying or even if it makes you think about something else , it means we did a good job!
Q
For that , how did you try to make the songs?
A
I guess we’re trying to tell the story of man versus the night and the city. It’s not a real concept album. But after demoing all the songs , we kind of felt they were all related in their « ambiance », and sometimes in their lyrics to nightlife. It’s an ode to nightlife, its joys, its sorrows and what makes us alive basically.

About Papooz
Q
What is the theme you are looking for through making music?
A
We’re just enjoying making it! That’s the biggest part of the process when you’re a musician. The simple joy of playing music with your friends.
Q
Why did you choose Papooz as your band name?
A
Written as « Papoose » it means baby carriage, or native american child, in english. Basically, we were smoking with Ulysse in the morrocan desert when we found it. We just liked the sonority of the name, not really its meaning. It made us laugh at the time.
Q
Who inspire you
A
Musically, we listen to a lot of soul & soft rock acts from the late 70’s: Steely Dan, Michael Franks, The Sparks, Supertramp, Fleetwood Mac, Shuggie Otis… & anything with a great groove! I was also reading a lot of Bukowski & John Fante at the time. Pacific Telephone & Night Sketches are both influenced by their writing.
Q
Would you recommend French bands of same generation?
A
Check out these bands.
La Femme
Oracle Sisters
Feu! Chatterton
Moodoid
Polo & Pan

About Hedi Slimane
Q
How did you meet Hedi?
A
We met him at his birthday party he organized in Paris. He invited several local rock bands and we had cake and pictures!
Q
What did you talk him about?
A
Stuff as where do you guys live, what do you like, suits etc… Mostly cheat chat! He’s a really nice guy.

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♪INFORMATION♪

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ストーリーでは、ハマっている音楽から日常の風景などなど、気持ちの揺れ動くままに投稿しています。よかったらぜひー!


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えー、非常に申しにくいのですが、これまで無料でできるブログを使ってたのですが、独自サイトにしたことで毎月費用が発生するため、試しにオリジナルTシャツを作ってみました(笑)。

そんな経緯から作ったTシャツは、手前味噌で恐縮ですが、かなりカッコいいデザインに仕上がったなと満足しています。SEI LIBRARYの新サイトを象徴する、夜の写真をプリントしました。

以前からの読者のみなさんに種明かしをすると、旧ブログで使用していたビルのアイコン写真は、20世紀のモダニズム建築を代表するドイツの建築家ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe)が手掛けたニューヨークにあるビルを、私自身が2014年に撮影したものです。彼を知らなくても、’LESS IS MORE’や’GOD IS IN THE DETAIL(神は細部に宿る)’といった標語やバルセロナチェアという高級なソファをご存知の方は多いかと思います。いずれも彼が提唱した言葉であり、設計したチェアです。私は他にスペインのバルセロナパビリオンを見に行ったことがあります。知ってらっしゃる方も多いかと思いますが、ミースはHediさんが好きな建築家でもあり、直線を多用した建築様式の影響は、Dior HommeからCelineに至るショーのステージやショップ、彼が住んでいたLAの豪邸から見てとれます。で、照れ臭いのですが、2015年にブログを始めた当初、このブログをHediさんに気づいてもらえたらと彼への目配せで、あのビルの写真を採用したのです。もちろん個人的にも思い入れがありましたが。結果としては、彼との直接のやりとりはできませんでしたが、旧サイトの制作を通して、ショーのサウンドトラックを作成したSWMRSやPypy の独占インタビューを紹介できたり、彼が見出したモデル兼ミュージシャンとコンタクトをとったことで彼への理解をより深めることができ、また先ほどのSpecial Thanksにあげたような方々にサポートいただけたことや、直接のやりとりなかったためお名前は挙げるのは控えましたが投稿するたびにインスタでいいねを押してくださる方がいたことや、たくさんの人がサイトを訪問して読んでもらえたことで、素直に嬉しかったです。これ本当です。ありがとうございました!

だから新サイト設立の理由は、海外のミュージシャンの方々や、サポートいただける日本の方々に、より敬意を示したかったというのが素直な想いです。正直、旧ブログの終盤では、憧れだったRusselや大御所のMargoさんまで協力してくれたり、たくさんの方が読んでくださったのに(Russelのツイート効果が半端なく、かなりの方が訪問してくださりました)、ウェブサイトの体裁として応えきれてないなと、悔しく申し訳ないと痛感していました。

旧サイトのアイコン写真も気に入ってはいましたが、新サイトの写真はHediさんへの目配せや、いわゆる意匠的な建築などからは離れて、あくまで私個人としての想いが体現できるオリジナルなものにしたいと思っていて。そこで引っ張りだしてきたのが、Tシャツにもプリントされている夜の橋の写真でした。

この写真は私が、今からちょうど10年前(奇しくも前述のパリのエピソードと同じ年ですね)、2009年の5月15日に撮影した写真です。遠方に出張に行った際、夜に一人で郊外の外れを散策し続けていた際、誰もいない無名の橋を撮影したものです。新サイトを立ち上げるために、アイコンとなる写真を考えていた際、自身が撮影した過去のアーカイブを振り返った時に、この橋の写真に一気に引き込まれ、他の選択肢は考えられませんでした。

撮影当時私は20代半ばで、まだまだ世間知らず、この先どうなるかわからない人生に不安を抱えていました。そしてRockを本当に心の底から熱心に聴いていた。自分自身とRockの間に隙間がなく、聴く音楽と一体化している感がありました。前述にあげたRusselやThe HorrorsをはじめIndie/Alternative Rockの大好きなミュージシャンやHediさんを偏執的に崇拝してもいました。撮影したカメラはCanonのPowerShotというものでコンパクトデジカメに毛の生えたようなものです。それでも当時の私としてはHediさんに憧れて、なんとか彼のようなクリエイティブなことをしてみたいともがき(前述のポラロイドも同じ気持ちからですね)、少ない手取りからやっとの思いで買ったカメラでした。つまり自分に自信がなく、RockやHediさんを心の支えにすがりついていたのです。この夜の写真は私に、当時のヒリヒリとした焦燥感、そして音楽と彼への切実なまでの憧憬を思い起こさせます。その初期衝動を体現するこの写真こそ、ミュージシャンとリスナーに捧げる新サイトのアイコンにふさわしいと確信しています。

そんな、重い想いが凝縮された写真がプリントされたTシャツだから、着るたびにRockへの熱いオブセッションがきっと憑依するはずです(笑)。すっきりとしたスリムなシルエット、さわやかなコットン100%。今から夏に向けてヘビロテできるかと思いますので、よかったらぜひどうぞ。購入された方はインスタで教えてくださいね!

私自身も早速注文しまして、今から到着が楽しみです。3日ぐらいで到着するみたい。手持ちのSaint Laurent Parisのチェックシャツ、Dior Hommeのはおりなんかと合わせて、10連休にもガンガン使っていきたいと思います。Tシャツ届いたらインスタのストーリーで報告しますね!